かおすもにゅめんたむ

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リーマン予想が証明された?リーマン予想と微細構造定数について分かりやすく

リーマン予想が証明されたらしい(ただし検証はまだ)。リーマン予想とはアメリカのクレイ数学研究所によって2000年に発表された100万ドルの懸賞金がかけられている「ミレニアム懸賞問題」の7つの未解決問題(ポアンカレ予想ペレルマンによって解決済)のうちの1つであり、「ヒルベルトの23の問題」の1つでもある。要するにめちゃくちゃ重要な未解決問題だということだ。

リーマン予想ベルンハルト・リーマンによって1859年に提唱された。リーマン予想は次のように提示される。

リーマン予想リーマンゼータ関数ζ(s)の非自明な零点sは全て実部が1/2の直線上に存在する

リーマン予想とはなにか?

順番に見ていく。まずリーマンゼータ関数の説明のために以下のような式を考える。
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ただし今のところ、ここではs>1の実数である。記号のΣは和を取ることを意味する。実数というのは整数とか小数とか生活に馴染みのある数のことだ。s>1の実数のときは収束するだろうというのはなんとなく分かる。例えば、s=2だったら1+(1/4)+(1/9)+…となる。ちなみにこの結果はπ2/6(バーゼル問題)。

ではこのsを複素数に拡張する。複素数というのは実数と虚数を合わせたもので、虚数というのはiという記号を使い、iは二乗したら-1になるもののことを言う。普通は二乗したら正の数になるはずだが、それが負の数になるものを考えようというのが虚数の概念になる。複素数乗というのは想像しにくいかもしれないが、複素対数関数*1を用いることで定義できる。この場合もs>1で収束することが証明されている。

では次はs<1に拡張したい。しかし一見これは収束しないように思う。例えばsに-1を入れると1+2+3+…となり発散してしまう。しかしこれを解消する道具がある。それが解析接続である。

複素数が絡む関数には、2つの微分可能な関数がちょっとの部分で一致していれば、領域全体でその微分可能な関数が一致しているという一致の定理がある。これによって微分可能な関数は1つに定まる。つまり収束していた領域での関数をどんどん拡張していって、発散するはずの領域にまで伸ばしていったとき、その関数はやっぱり1つ決定されて収束しうるはず。これが解析接続の考え方である。噛み砕けば、似たような、こうだったら有り難いなあと思う関数で嫌な部分を上書きしたようなものと言えるかもしれない。

先程の1+2+3+…は解析接続を使うと-1/12に収束する。正の数ばっかり足してるのに負の数になるわけがないだろうと思うが、解析接続を使うとそうなってしまう。

解析接続によって1以外の複素数sに対してリーマンゼータ関数が収束するようになる。これでリーマン予想が理解できる。「ζ(s)の非自明な零点s」とはζ(s)=0となるsのことで、非自明というのは負の偶数ではないという意味である。負の偶数がなぜ自明な零点なのかの説明は割愛する*2。その非自明な零点は全て実数が1/2であるというのがリーマン予想の意味である。

リーマン予想が証明されるとどうすごいのか

リーマン予想が証明されたからといって私たちの暮らしが劇的に良くなるわけでもない。ただ数学的には、リーマン予想が解けると素数の出現分布が分かるようになるというので注目されている。このことはしばしばNHKなどでも特集されているのでご存知の方も多いだろう。私も見た。

リーマン予想の証明について

そのリーマン予想が証明されたという。証明したとされるのはマイケル・アティヤという90歳近い数学者である。その論文にはこう書いてある。

I explained how to solve a long-standing mathematical problem that had emerged from physics. The problem was to understand the fine structure constant α.
(中略)
I speculated that the techniques of [2] might lead to the new subject of Arithmetic Physics.

勝手に翻訳すると

私は物理学の長年の数学的問題を解決する方法を説明した。その問題は微細構造定数αを理解することだった。
(中略)
私は[2]の技法(微細構造定数の導出)が数理物理学の新しい主題につながるかもしれないと推測した。

リーマン予想の証明は微細構造定数の導出に関連して出てきたものだと言っている。ではここで、微細構造定数とはなんなのだろうか。

微細構造定数とは

私は物理化学専攻だったのでこっちの方が説明しやすいのだが、微細構造定数とは電磁気力(相互作用)の強さを表す物理定数である。電磁気力は、現代物理学の4つの基本相互作用のうちの1つで、他の3つは「強い力(相互作用)」「弱い力(相互作用)」「重力(相互作用)」である。強い力や弱い力というには別にふざけているわけでなくそういう名前が実際についていて、強い力は原子核内の核子を結合している力(核力)であり、弱い力は素粒子間に働く力である*3

微細構造定数は次の式で表される無次元量である。
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ここでeは電気素量、ε0は真空の誘電率、hはプランク定数、cは真空の光速度である(ディラック定数を使う方が良いが説明のためにこの形にしている)。どれも決定されている定数であり、したがって微細構造定数αも定数である。電気素量は一つの電子が持っている電荷量の絶対値に等しい。真空の誘電率とは真空が磁場に対してどのように電気的に応答するかを示した定数(あまり正確でないが)、プランク定数は光の粒子の持つエネルギーの振動数に対する比例係数で、量子論に特徴的な定数である。

微細構造定数は約0.00729735256だが、この逆数の137.035999258は実際に実験で求められる値であり、むしろこちらの方がよく出てくる。この137という数字の神秘性は以下の書籍に詳しい。

137 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯

137 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯

この137の起源を科学者は研究し続けてきたが、いまだに分かっていない。それを導出したのが、このアティヤの研究であり、そのついでにリーマン予想まで解決したと言うのだから驚異的と言えるのがわかるだろう。

まとめ

リーマン予想を解決するのはすごい。微細構造定数を導出するのもすごい。そして数の神秘性を支配するリーマン予想と、宇宙の真理を支配する微細構造定数が結びついていると言っているのだからとんでもなくすごい。証明されたというのが正しいのかどうか続報が待たれる。

*1:ns = eslogn

*2:リーマンの導入した解析接続では、ζ(s)∝sin(πs/2)となりζ(-2n)ではsin(-nπ)=0となりζ(-2n)=0が導ける

*3:なぜ微細構造という名前が付いているのかと言うと、そもそも微細構造定数は、水素のスペクトル線に微細な分裂があったものを説明するために1916年にゾンマーフェルトがボーアの原子模型を楕円に拡張した際に導入された量であり、このスペクトルの分裂を微細構造と言っていたから。