かおすもにゅめんたむ

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「粉末の水素水」は本当に嘘(疑似科学)なのか?効果がないのか?

Twitterなどで岐阜大学東京工科大学が共同で開発した「粉末の水素水」が話題になっている。ネット上では水素水は疑似科学扱いされているので、粉末の水素水なんか存在するわけがないし、したとしても効果なんか一切ないという論調が多いが、それは本当だろうか?ガッツリではないが軽く調べてみる。

水素水自体に効果はないのか?

水素水は水素分子を水に溶解させた溶液のことである。では、そもそも水素水自体に効果がないというのは正しいのか?実はこれは分からない。まだ検証途中というのが正しいだろう。

そもそも水素が体に良いと注目されたのは太田らのNature Medicine 13 (2007) 688の論文で、水素がもつ抗酸化作用によってヒドロキシルラジカル活性酸素のこと)の働きを弱めることができるとされたことからである。この後、日本やアメリカ、中国などで吸入水素や水素を溶解した水素水の効果について調べられるようになった。

実際に様々な大学や医療機関で、水素水の効果が検証されており、酸化ストレスを減少させるなど一定の効果があることが報告されている*1

そこで、医療用だけでなく一般飲料としても身体に良いということを触れ込みにして発売し始めたわけだが、私は一般飲料の水素水はほとんど効果がないと思っている。なぜなら溶存している水素の濃度が少ないし、経口で摂取しても体内にはほとんど取り入れられないからである。

医療機関では注射などで持続的に投与している場合が多く、経口だったとしても毎日水素水を多量に飲んでいる。市販のものは、ペッドボトルの場合は時間とともに水素が抜けていくため濃度が低くなるし、アルミパウチの場合も飲料水を完全に水素水に置き換えるのは、藤原紀香ならともかく一般人は財布が持たないだろう。

では水素水サーバーならいいのかと言われると、それもやっぱり眉唾もので、普通の人が水素水を毎日飲んだからと言って、さらに健康になるという結果は今まで出ていない。しかし体調というのは精神的なものもあるので、自分が良いと思えば飲んでもいいと思う。もちろん嘘の効果を宣伝して人を騙すのはダメなのは言うまでもないが、効いていると思う人に、飲んでいるやつはバカとまで言う必要もない。実際に効果のほどは分からないのだから。私も理系の大学院を出ているが、理系には疑似科学だと鬼の首を取ったように騒ぐ人が多い。でもそんな人でも証明されていないことでも、心の平穏のために信じているものはあるだろう。

粉末の水素水とは?

ペットボトル水素水は水素が逃げるし、アルミパウチは価格が高いと述べたが、それを克服する目的で開発されたのが、粉末の水素水の前身となった「逃げない水素水36」という商品である。これは公式サイトによると

従来の水素水の製造方法は、水素ガスのバブリングが主流でした。しかし当社では、水に水素ガスを溶けさせるのではなく、世界で唯一の特許技術を用いて、水素に殻をまとわせるような形で水中に存在しているため、フタを何度開け閉めしても、水素が逃げることなく、ペットボトルでの販売を実現できたのです。

空気中に抜けていきやすい水素を、特殊な方法(特許取得)で水素と結合させることで安定化する、世界初!の製法を採用しています!

という商品らしい。このポンチ絵は大変気持ちが悪く、実際こんなことが起きるのか甚だ疑問なので、実際にその特許を見てみる。

特許第4881472号を確認すると、

【課題】ペットボトルに充填しても、該ペットボトルから水素がほとんど抜け出ることのないペットボトルに充填可能な飲用水素水の製造方法を提供する。
【解決手段】炭酸カルシウム、水酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムと精製水とを混合して白濁分散液を調製すると共に、該白濁分散液にリン酸と精製水を混合したリン酸水溶液を添加混合して得られた混合溶液に、クエン酸と精製水を混合したクエン酸水溶液を添加混合してコロイド状の酸性水溶液とする一方、該酸性水溶液に、水酸化カリウム水酸化ナトリウムおよび精製水を混合して得られたアルカリ水溶液とを混合して、pHが5〜8の範囲である混合溶液を製造し、更に前記混合溶液を、陰極水の酸化還元電位が−500mV以下になるまで電気分解して水素水原液を製造した後、該水素水原液をミネラルウォーターで80〜120倍希釈する。

と書かれている。つまり、電気分解によって発生した水素分子を溶液中に存在するコロイド粒子に吸着させて保護しているのだと言っている。そしてこのコロイド粒子に吸着した水素分子は蓋を開封することで、外に出てくるのだという。コロイド(溶液)とは微小粒子が溶液に分散したもので、身近な例では牛乳がある。

うーん…特許には確かにデータも付いていて、6ヶ月後でも開栓後に溶存水素濃度が上昇する様子が確認されるが、エラーバーも付いておらずチャンピオンデータ(何回もやっていい感じに出たデータの1回)じゃないのかと疑ってしまう。実際に「逃げない水素水36」の溶存水素を個人で測定したブログでは、水素分子は確認できなかったようだ。

今回の「粉末の水素水」はこれを凍結乾燥して粉末化したものであるという。原材料に記載されているブドウ糖はこのコロイドを保護する役割を持つ。したがってTwitterで揶揄されているように「水素を固体化するとかどんだけ低温だよ」とか「超能力に近い」という煽りは少なくとも的外れであるとは言える。

粉末の水素水は効果があるのか?

では粉末の水素水は効果があるのか?これも「逃げない水素水36」の結果だが、先述の特許に書かれている。特許では3人の被験者にのべ5回水素水を摂取させて、皮膚インピーダンス測定装置でBP平均値、IQ平均値、AP平均値なるものを計測して、気の流れや自律神経などを計測している。そして飲用後10分間はBP、IQ値が上昇傾向にあると結論付けている。しかし飲用後10分間しか効果がない上に、被験者も3人と少なく、さらにパラメーター自体も非常に曖昧なもので、これをもって本当に効果があるとは言い難い

効果があるとしても、市販に売っているこれに本当に水素が固定されているのかは分からないし、前も言った通り一般論として、水素水を健康な人が摂取したからと言って身体にいいかどうかは不明である。

まとめ

  • 水素水の効果は現在、検証途中
  • 粉末の水素水は、コロイド粒子に水素分子を吸着させたものを凍結乾燥させたもの
  • 逃げない水素水の効果はあると特許では述べられているが疑問がある

*1:Int. J. Clin. Med. 7 (2016) 32., Neph. Dial T. 25 (2010) 3026.など。他にもたくさんある。